法的効力を持った遺言書の正しい書き方

1 まずは、原則論を知りましょう

被相続人がなくなった場合、基本的には、
その相続財産は相続人の間で法定相続分(民法900条)に従って、配分されることになります。
子供しかいない場合であれば、子供の人数で均等に分割され、
配偶者がいる場合には、まず配偶者に2分の1が、
残った2分の1について、子供の数で均等に配分されることになります。
これが相続が発生した場合の原則形態、ということになります。

 

2 遺言がある場合、法定相続分に関わらず、相続人の相続分を決定することができます(民法902条)。

この際@遺言により、A被相続人自らがこれを定め、または第三者に指定を委託すること、が要件とされています。
そして遺言の具体的な方式については民法960条以下で規定されています。

 

まず、遺言は要式行為(960条)とされており、その通常の具体的な方式については、
967条でa)自筆証書遺言、b)公正証書遺言、c)秘密証書遺言が規定されています。
もっとも、これらの遺言についても、@)遺言能力のない者の遺言(963条)、A)所定の方式(上記a)〜c)の方式)によらない
成年被後見人・口がきけない者の遺言(973条、972条)、B)
公序良俗に反する遺言(90条)錯誤に基づく遺言(95条)については、無効となります。

 

3 自筆証書遺言(968条)について

自筆証書遺言は、その「遺言者が、その全文、
日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。」と定められています。
この形式において注意しなければならないのは、
ワープロ、タイプライター等で撃たれた場合について無効になってしまう、ということです。
自筆証書遺言は後述する公正証書遺言とは異なり、
お役所のお墨付きをもらう形式のものではありません。そのことから、
あくまで自筆、によることが要求されるのです。

 

また、日付を自書するのは、仮に新しい日付の自筆証書遺言が出てきた場合に、
どちらが優先するのかを判断するためです。
遺言は要式行為であると共に、単独行為なのですから、
日付の新しい方が優先する結果になります。

 

4 公正証書遺言(969条)について

公正証書遺言とは、2人以上の承認の立ち合い
(多くの場合、代理人、あるいは遺言執行者となる弁護士が立ち会います。)を得て
遺言者が公証人(公証人役場にアポイントを取ることが必要になります。)に
遺言の趣旨を口授し、公証人がこれを筆記して遺言者及び承認に読み聞かせ又は閲覧させ、
遺言者及び承認が筆記の正確なことを承認した後、各自署名押印し、
公証人が方式に従って作成された旨を付記して署名押印する方式の遺言です。
ざっと説明しても分かりますように、非常に厳格な様式が要求されています。
銀行などで遺言を保管する場合については、この方式によることがほとんどのようです。

 

5 秘密証書遺言(970条以下)

秘密証書遺言とは、遺言者が、遺言者または第三者の書いた遺言所に署名押印し、
その証書を封じて証書に用いた印章で封印し、公証人1人及び承認2人の前に封書を提出し、
自己の遺言書である旨、また遺言所が他人によって書かれているときは、
筆記者の氏名・住所を申述し、次に公証人が封紙に証書を提出した日付及び依存者の申述を記載し、
終わりに、遺言者・承認・公証人が封紙に署名押印するという方式の遺言を指します。

 

公正証書遺言とはそもそもの文書の作成者が異なるため、このように厳密な方式が取られることになります。

 

6 まとめ

このように、法律的に有効な遺言にするためには、
遺言が要式行為であるという特徴を踏まえつつ、法律にのっとった形式で行う必要があります。
また、その内容についても別途規定があり、
これに反する遺言については効力が生じないことについても確認しておく必要があります。